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膜厚分布があるサンプルの膜厚測定
膜厚測定において,サンプル状態によっては膜厚の均一性が悪く,膜厚分布によって干渉性が悪化してしまう場合があります. スペクトル解析ソフトウエアSCOUTは,測定領域内の膜厚分布を解析パラメーターに入れて膜厚測定することができます.
実験用液晶セルのセルギャップ厚決定:膜厚分布のある層構造の解析
液晶セルに液晶を封入する前のセルギャップ厚(空気層なのでエアギャップと呼ばれます)の測定例を示します. 実験用の液晶セルの層構造は次の通りです. 中央のセルギャップ層に液晶を注入して液晶セルにします. セルギャップ厚によって,液晶の電場応答が変わるため,セルギャップの厚さ測定は重要です. ここでは,膜厚分布がある場合の解析例として実験用液晶セルを取り上げて,そのスペクトル解析方法を示します.
エアギャップ厚に分布がある場合には,図1の写真のようにエアギャップ厚の違いに起因する干渉色が見られます. このような液晶セルのエアギャップ厚を分光測定する場合,測定領域の大きさによって,膜厚の分布状態が違ってきます. 膜厚分布がある液晶セルのスペクトルの解析では,エアギャップを厚さが均一な空気膜と仮定すると,現実と異なる理想的な干渉スペクトルを計算するため,図2のように,特に短波長側で実測スペクトルと不一致が生じます.
この不一致を避けるために,エアギャップ層の厚さが膜厚中心値に対してガウス分布していると仮定して層構造をモデル化する方法が有効です. ガウス分布で,高さが中心高さの 1/e になる膜厚範囲を膜厚バラツキ(Thickness variation)と定義します.
膜厚分布をガウス分布を仮定した場合,図3のように,短波長側の一致度が上がり,Deviation値(収束誤差の標準偏差)が一桁以上改善しています.
スペクトルフィッティング解析の詳細については,スペクトル解析ソフトウエア SCOUTの技術資料をご覧ください.